空泥棒

行きしなにある古びた商店街によって、サンドウィッチと自販機のフルーツ牛乳を買う。
そして道なりに沿って行けば、あの河川敷。
自転車を止めて辺りをきょろきょろと見渡す。
…あれ、なんだ、いないのか。自分から頼んできたくせに偉そうなやつめ。
少し不機嫌に、川へ降りるための段差の上に座る。
ぽかぽか太陽が気持ちよくて眠ってしまいそうだ。
草の上に寝転がって、太陽を見てしまわないように空を見上げる。そして、カメラを構えた。
どこまでも続く、蒼い、空を。
カシャッ「ばあ!!!」
「うわっ!!!」
ぱっとカメラを手放しそうになったことと、ファインダー越しから見えた要に、心臓がドッドッドッと全身から音を立てて鳴る。
急いで起き上がって、もう1度彼を見た。
「びっくりした?」
「びっくりどころじゃないわ!普通にこわい!!」