そして二日後の明後日。
今日は、バタバタという雨の音で目が覚めるぐらいの豪雨だった。窓を閉めなきゃ!という本能に駆られ、バッと飛び起きたぐらいだ。
今朝早くから降っていたようなこの雨は、案の定、窓の中淵を濡らしてこの木造建築を腐らせようとしていた。
もう朝から最悪だ。と、使ってない部屋の窓を確かめながら思う。
でも、さすがにこの雨だったらあそこに行く必要はないだろう。彼もこの雨の中いる訳はないだろうし。と、少しホッとしたのも事実だ。
「陽、朝からどうしんだ」
しばらくすると、わたしの足音で起きたのか。父が目を覚まして寝間着姿のまま起きてきた。
今更出てきてなんでそんな呑気にしてるんだこいつ。わたしの苦労も知らずに。とイライラしながら何も言わずに中淵を拭き続ける。
「…おい」
「見てわかるでしょ、雨で濡れてたの。」
「なんで戸締りしてないんだ。」
ああ偉そうに。説教たれて。むかむかとお腹からなにかこみ上げてくる感じがする。
「じゃあ父さんがしてよ」
ぐっと目の前で声を詰まらせる成人男性。
「出来ないよね、母さんに任せっきりだったもんね。」
「陽!!」
なんで朝からこんな思いをしないといけないんだ。
私はなんにも悪くないのに。
もう顔を合わせたくなくて、わたしは雑巾を置いたまま部屋に帰った。