空泥棒

要が言ったことの意味がわからない。
写真を撮る？私が？得体の知れない…いや名前は知ってるけど、今日であったばっかりの赤の他人の写真を？なぜ？

｢な、な、なんで、私が、要の写真なんて｣
｢いや動揺しすぎ｣

さっきのようにくくっと笑う要。
その笑顔のなかで1秒に満たない一瞬、影がかったような顔が見えた気がした。
しかし、そんなことを微塵も感じさせない顔で私を見た。

｢…別に、暇そうだったから、遊び相手になるかなと思っただけ。｣

うわ、なにこれ、捨て猫を見て見ぬふりするみたいな…とりあえずすごい罪悪感溢れる顔やめてほしい…！！！

｢…いいよ、要。写真、撮ったげる。｣

その瞬間、ぱあっと要の顔に光が指した。
｢え、ほんと？｣
｢ただし、条件があります。｣
｢なになに、俺大体のことは聞くよ。｣

犬みたいだ、と思ってしまった。

｢月曜と水曜と金曜だけ。あと、お互いのことには干渉しないこと。何があっても絶対に。｣

なんで？って顔してるのが分かる。
たしかにこんな条件理解できないだろう。

でも、わたしにとっては重要なのだ。