今度知らない天使からメールがきたら無視しなさいとエメルディアにはきつく言われていた。
 だから記憶はメールを見ないで削除しようとした。
 しかし結論を言うと出来なかったのである。

 そして今、記憶は夜を迎えようとしている公園に
一人メールの相手を待っている。
 エメルディアに秘密で会う約束をしてしまったのだ。
 どんな人なのかな?
 記憶はドキドキしてきた。
 どんな女の子なんだろう?
 明るい子かな?それとも自分と同じ人見知りの子かな?
 ドキドキ。ドキドキ。
 削除しようとしその件名は


 友達になってくれませんか?

 それにしても遅いなあ。
 もっと厚着をしてくるんだった。ちょっと寒い。
 くしゅんっ。
 くしゃみまで出てきた。
 早く会いたい。
 記憶は星に祈った。

「待ったか?」
 急に肩が温かくなった。誰かが記憶の肩に上着ぎを
掛けてくれたようだ。おそらく待ち人だ。
 でも記憶の心はすーと冷たくなっていった。
 記憶は振り向けない。

「待たせて悪かったな、記憶」
 だってその声はとても低い声で
 女の子じゃないと分かったからだ。
「隣座っていいか?記憶」
 水連はどかりと記憶の隣に座った。
 どうしよう。
 どうしよう。
 記憶は恐る恐る水連を見ると
アイスブルーの鋭い瞳とぶつかる。
「ちょっとお前に聞きたい事があるんだけど……」
 えい。
 記憶は勇気をだして走って逃げだした。
 ふぎゃん。
 とちゅう何度も転びながら走って走った。
 やがて水連の姿は見えなくなり、記憶は自分が情けなくて
涙がでてきた。
 もし声がでるならきっと泣きじゃくったに違いない。
 とぼとぼと家にやっとの思いでたどり着いたのだが
記憶はそこで絶望することになる。