淡い緑の髪に緑の瞳。物腰はとても柔らかく、記憶を
いつも守ってくれる。
 記憶はエメルディアに憧れていた。
「まったく、ティアにも困ったものだね。
今度、来たら僕を呼びなさい」
 記憶はうなづく。
「顔色悪いね。記憶、大丈夫?」
 記憶がもう一度うなづこうとした時、またあの機械音が鳴った。
 ピルルピル。
 記憶は驚いて、ポケットから携帯を取り出す。
 もうならないはずの電話。
 エメルディアがいるのも忘れて、記憶はまじまじと携帯を
見つめる。
 差出人は水連。
 同じ天使だ。なんで?どうして?
 件名は……ごめん。
 記憶は何度もメールを読んだ。
「記憶、ここでは電源を切りなさい」
 エメルディアのたしなめる声で、記憶は我にかえった。
 メールの用件は間違ってメールしたことの謝罪だった。でも記憶は嬉しかった。
「友達できたのかい?記憶」
 記憶はぶんぶんと首をふる。そうだったらどんなにいいだろう。
記憶は今までのいきさつを説明した。
「記憶、携帯貸して」
 えっ?
 記憶が携帯を差し出すと、エメルディアは
さささと操作した。
「はい。記憶、僕のメルアドを登録したから、今度メールするね」
 え?いいんですか?
 記憶がパクパクと驚いていると
エメルディアはおかしそうに片目をウインクした。
 
 結局その日は早めに帰る事になった。
 夢見心地で記憶は、何度も他の天使にぶつかりそうに
なりながら帰った。
 家に帰ってからも、何度も初めて登録されたアドレスを見てにやにやした。
 エメルディア様のメルアド。
 早速メールしようと文面を考えていたら
ピルピルピピ。
 また携帯が鳴った。