時間は夜になろうとしていた。
 皆、背中の翼をパタパタさせて家路へと急いでいる。
 もちろん記憶だって普段なら帰って食事の準備をしている時間だ。
 しかし今日は国の外れの公園のベンチに座り込んで待ち人を待つ。
 季節は冬の初めでわずかに肌寒い。
 早くこないかな。
 記憶は翼で肩を包んで、はあと息を吐きだした。
 事の始まりは一通の間違いメールから始まる。