雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


「クラス。見に行かない…?お母さんたち長くなりそう…」

途切れ途切れだが、そう聞き取れた。

なんでこんなにもビクビクされなくちゃならないのかと半分疲れを感じながらため息を漏らせば、となりでびくりと反応させる姿が端から見えた。

怖がらなくても大丈夫という意で、桜の丸っこい頭をぽんぽんと優しく撫でれば談笑に花咲いている両親のもとに行く。

「こんにちは、伯母さん。伯父さん。ご無沙汰しています。話に花がさいているようなので、俺と桜は先にクラス確認してきますね。」

そう、愛想のいい笑顔を向けると、ほぉっと息をこぼす伯母と伯父。

「相変わらずいい男に育ったなぁ、雪くんは。」

「本当、いつでも桜を嫁にもらっていいからね?」

なんて、言葉をもらえば苦笑いしか浮かべられない。考えておきますとだけ残せば、後ろに取り残してしまった桜の元に行き、まだ俯き気味の桜の手を取る。

途端、はじかれたように顔を上げて真っ赤な顔で俺をじっと見ていた。

「なんだ。」

その行動に驚いたのは俺だ。いきなり顔を上げれば真っ赤になっている。しかし、その表情は数秒で理解できる。

「離れたらダメだろ。」

そう呆れたように笑えば、再び俯き小さく頷く。相手の了承も得たところで、クラス表が張り出されているであろう掲示板に足を向けた。