雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


高校の女子制服は、セーラーだ。その真新しいセーラーを着ては、見慣れたおばさんとおじさんに笑顔を振りまいているその女子に一気に血の気が引く。

なんでここにいるんだろう、そう疑問にさえ思ったくらいだ。

それに気がついたのは俺の両親で、視線の先を追うとぱっと顔が華やいだ。

そして、そのおじさんおばさんの名前を呼んでは駆け寄ったのだ。多分親のネットワークではすでに知っていたことなのだろう。駆け寄って話しかける2人に何も驚いた様子はなく、むしろ待っていたと言っては、手を取り合っていた。

置いてかれたのは子ども二人だ。俺は、気まずそうにその女子のもとに歩み寄れば、そっと顔を上げる。

最後に見た小学5年生の夏より身長が数十センチ伸びたのだろう、しかし俺よりもやはり小さい。面影は小さい頃からなんら変化はないが、どこか大人っぽくなったとは思う。

こんなにこいつの顔は小さかったか?と思わせる程の小顔に華奢な体は、そこらへんの女子よりは断然可愛いと思う。しかし、その小顔を邪魔するのは顔の大きさに不釣合いな眼鏡。

そして、そのメガネとともに拍車をかけて両サイドに結んでいる三つ編みが冴えなさを際立たせていた。