雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


結局、食事の時は親からのいいアドバイスは特になかった。強いて言うなら、女性にあげてあまりハズレのないプレゼントがバスセットだという、特に必要のない情報が手に入った程度。

頼みの綱はやはり友達あたりしかいないのだろう。それも、松井が特に鍵を握っていると思う。何よりも松井は異性だから異性が欲しがるものっていうのがよく理解できていると信じている。

そう思いながら部屋に戻れば、携帯のディスプレイが光っていた。

知らない先ほど連絡手段を交換したばかりだというのに早速連絡をくれたらしい。

画面をスライドさせてロックを解除すれば、すぐに文面が目の前に現れる。次の日曜日にプレゼント選びに付き合ってくれるというものが飛び込んできた。

これは、今までにないチャンスであるというのがわかる。小さくガッツポーズをしたあとに、是非お願いしますと返信を送れば、待ち合わせで時間の指定と場所の指定まで決めてくれていた。

一番すんなりとことが進んだ計画に俺は、心から安堵をする。ここで、ねちっこく何時でどこという長くやり取りしなくて済むと心が軽いのだ。

最後に了承のスタンプを送ると同時に、別の方から通知が来る。

開けば桜からだった。内容は簡潔に分からない数学の宿題の場所を教えて欲しいというものらしい。桜とのメッセージのやりとりは基本こんなものだ。色気とか期待するだけ無駄だなと少しだけ苦笑いを浮かべてしまいそうになる始末。

それは、それで楽しいから今はいいだろうと、心の中で納得して俺はメッセージを返信した。