雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


あまり時間を取ることができないと言われ、連絡手段だけを交換してそのまま松井の背中を見送った。

「あと30分くらいすれば部活も終わると思うからそろそろ帰り支度していいと思う。桜にも靴箱の方に行ったって伝えておくし。」

そう言って後ろ手に大きく手を振って、楽器と譜面があるため走ることはせず、だが急ぐように早歩きをしてはその場を去っていく。

ポツリひとり残された廊下。既に日は沈み、廊下の電灯が怪しく光っている。まだ新しい校舎なため怪談話は信用ならないが人気のない大きな建物というのはいやに不気味さがプラスされている気分だ。

嵐去った気分で大きく息をついては教室に戻る。あと30分くらいで部活終了の合図がなるはずと思えば、さっさと荷物を片して教室の鍵を職員室へと返さなければならない。ここから職員室は少し離れの校舎にあるため、少し面倒くささを感じるが、待つといったのはこちらなので文句は言うまい。

強いて言うなら、敷地内複雑にした建設側だろうか。

広い敷地を余すことなく使いたかったのだろうが迷惑でしかない。

しかしそれも含めてこの高校の良さなのだろう。俺は素直にここに入ったわけだしそこまで嫌だとは思わないっていうのは本当だし。

そんなことを思いながら一連の中では既に鍵を返してロッカーで靴を履き変えるというところまで終わらせていた。