雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


そんな出来事があって以降、桜と俺は連絡をとっていなかった。桜の家の両親と俺の両親は仲が良かったし、弟の翔洋はどうしてか気が合った為、時折遊んでいた。

しかしそれは、翔洋が男だからだ。きっと桜も男だったらそのあとも普通に遊んでいたかもしれない。

そんな感じで双子のように育てばいいという親の願いもむなしく、俺らは別々の生活をしていた。

あちらの親が桜も誘って俺らの家と遊ぼうと言った際に毎回断りを入れるということもあった上に、住んでいる地区が全然違ったために小学・中学と違ったから会うことも極端に減った。

そうやって、桜の存在も徐々に俺の記憶から薄れていった。

時折、春になるとあいつのことを思い出さなくもないが、会おうとは思わなかった。会ってどうすることもできないことを知っていたから。

そんな距離を保ったまま、気が付けば中学を卒業して高校生になるという春の時期にさしかかった。

桜と距離を保ったまま、会えなくなってから数年目の春だった。

俺らは意外なところで再会を果たすこととなる。