雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


透さんは、従姉妹でもやはりお姉さん気質がとても高い。逆らうと怖いというのが本音だ。男の俺でも容赦なしにボコボコにする。

それと同時に兄弟思いだ。俺も含めてそういう意味では可愛がらせてもらっている。だからなのか、透さんには逆らえないというのが本音。

そんな透さんからのメール。その内容は、簡潔に言えば『桜の誕生日の時に誕生会やるけど出る?』というものであるが、どうせ拒否権など俺には存在しない。きっと俺のところの両親も喜んで一緒に参加するんだろうなと思えば、数秒で返信の答えはできている。

『わかりました。出ます。』とさっぱりとした返信をすれば、顔文字で返ってくる。それ以上のやりとりは俺も苦手だしそれを知っている透さんも返してこない。

反応のなくなった携帯を再びポケットにしまえば小5以降、桜と接さなかった俺は久しぶりのそういうのに懐かしさからため息が出た。

誕生日と言えばプレゼントだろう。幸い桜の誕生日は4/23でまだまだ2週間後の話ではあるが物は早めに決めたほうがいいだろうと思った。

しかし、壁になるのが桜が今何にはまっていてどんなのが欲しいのかよくわからなかったということだ。異性にプレゼントなんて透さんや伯母さん、お母さん以外でない。要は身内。いや、桜も身内だがどうみても、ほかの身内とは趣味が異なって見える。

特に透さんとは全然違うだろう。

そんなことで頭悩ましている俺などお構いなしに、後ろでサックスを吹いている吹奏楽メンバーたちがどこか羨ましく感じた。

とそんな時ふと思い出した。今ここに桜の友人が居ることに…。とりあえず練習の邪魔にならない時を見て俺は話しかけようと決心して、開いていたノートと向き合うことにした。