ひとりきりの教室はどうも寂しく感じてしまう。日が沈むのは早くて、18時にはとっぷりだ。
静かな教室で、MP3プレイヤーに入れた曲をイヤホンで聞き流しながら、今日出された宿題を片している時だった。
「あれ~…誰か人いるのかな~…。」
「どうする?パート練習いつもこのクラスでやってるけど…。」
曲の音量がそこまで大きくないためかその会話が廊下から聞こえる。俺自身がここにいることで迷惑をかけているらしいが、俺もどく気がしない。
図書室はとうの昔に閉まっているため、何もできないからだ。
とりあえず、廊下で相談している人たちのもとに話をしようと席を立ちさっさと扉を開けると、女生徒が数名首から金色のなんとも形容しがたい楽器を下げている。
それは、とても有名な楽器で俺でもわかる楽器だ。確か、サックスだったかな。サックスをぶら下げたままいきなり俺の出現にびっくりしたのか、肩を大きく跳ねさせた。
「別にいいですよ。使って。俺がここにいて邪魔にならないなら。」
そう言って背中を向けては自分の席に戻る。それについてくるように、数名のサックスを携えた人たちが入ってくる。少しだけ、俺に申し訳なさそうな表情を浮かべては、後ろの方の席を前の方に動かし、椅子を数個並べた。
