雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


「はぁ、純粋な雪には言っておくけどな、結構この噂は学年でも有名なんだからな。」

ひとしきり叫んだあとなのか倉木は、一息つくように息を深く吐いてそう言った。

「まぁ、噂が尾ひれついて色々と膨らんでるところはあるけどな。ルックスがいいんだからもうちょっと気をつけろよ?あまり柳瀬さんのことをいいと思っていない女子多いからな。今は、3組の松井志保さんが昼休み時間にいるし、休み時間はお前がほとんど一緒だから特に何もされていないだろうけど、注意深く見ておいたほうがいいぞ。」

「なんだそれ。勝手に勘違いして勝手に癇癪起こしてるってこと?心底バカらしいね。俺にそれを向けるのはいいけど桜に向けるとなると女子でもぶん殴ってやる。」

俺は正直女子に優しく見えるらしいが、別に優しいわけじゃない。腹が立つようなことをすれば男女関係なく制裁を加えることだってある。

そういうことが起きていないからこそ、困っている人には助ける意思で手伝っているだけなのだ。

しかしこういうことがきっかけで身内が巻き込まれるのなら、身から出た錆というわけで、錆を回収していくしかないかとため息をひとつ吐いた。

「あれで付き合っていないってマジなの?」

「今は、まだ付き合っていないんじゃない?」

「あぁ~…」

二人の会話など耳に入ってこないほどには俺はどうやって桜の周りを注意してみていくかを考えていた。