雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


「ぶっちゃけなところさ。お前と柳瀬さんってどうなの?付き合ってんの?」

それは唐突な質問だった。同じクラスの倉木蒼が、売店のサンドイッチをむさぼりながら身を乗り出して聞いてきたのだ。

今は昼休み。澤田と同じクラスの倉木と俺で3人食堂でご飯をしているときだった。唐突な発言に、手に持っていた箸を落としそうになる。

「なに、いきなりそんな…。そうじゃないよ。俺と桜は従姉妹。それは、入学式の次の日にも言ったじゃん。」

「だって、わっかんねぇじゃん。兄弟じゃないというのはわかったけどさ、いつも移動教室の時一緒だしよく話してるしさ、帰りも一緒に帰ってんでしょ?柳瀬さんってメガネ外したら超絶美人じゃん!!手を出さないはずがない。」

テンション高い倉木を見ながら、阿呆くさいと小さくため息をつく。高校生がそういうお盛んな時期なのはわかるがそこまで恋愛脳ではない俺は、白けた目を倉木に向けた。

「え、何。俺何かまずい言った?」

「蒼、こいつは中学の頃からこんななんだよ。あまり恋愛に興味ないっていう感じのくせに、女の子には優しいから女子が勝手に勘違いするっていう。」

「そう言うけどな、澤田。お前も女子に人気あったじゃねぇか。ってか、今もあんだろ。そのおにぎり。差し入れだろ?今日の。」

ばれた?とおちゃらけに言いのける澤田をぶん殴りたくなる。

「ハイハイ。どうせ、顔面レベル庶民な俺にはわからない境界ですよ。」

「何言ってんだ。倉木はかっこいいぞ?なぁ、澤田。」

「ああ、俺もお前はイカしていると思ってる。」

「んなっ、そんなキラキラした目で見るなイケメンども!!」