雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


「えっ。吹奏楽やってたの。」

そのときは驚いてそう言ってしまったが、あとあとから思い出しては、桜は昔からピアノを習っていたことを思い出す。音楽の才能があることには変わりないのだから別に驚くことでもなかったと今になったら思うのだ。

そんな俺に、少し照れたようにはにかめば小さく頷く。

「うん。元々、音楽好きだったから…。高校でも吹部はいろうかなって。」

「へぇ~、いいんじゃない?何やってたの?」

「……、ふ、フルート…」

そうもごもごと言われて周りに壁がありしっかりと閉鎖された空間からは聞き取ることができた。

フルートという楽器がうまく頭に思い浮かべられないのは俺がそっち方面が疎いからだろう。フルートとは…、と固まってしまっているところで、桜がその楽器を吹く真似をしてくれた。

「こう、横にした筒みたいな楽器。」

器用に教材を脇に抱えながら、両手を横にならべては少しだけ唇を尖らせる。それを見て、俺はその楽器が頭の中で結びつくこととなる。