当の桜とはといえば、お隣となっただけで結構話しかけるタイミングが増えた。しかし一方的に俺からのみであちらからの接触は相変わらず控えめである。

友達という存在もあまりないが、時折違うクラスから来る黒髪ロングの美人さんとはなししているのを見ると、いないわけではないらしい。しかし、クラスでは決まって孤立しているようにも思える。自分から歩み寄るのが苦手なのは久しぶりに会ってからなんとなく知っていたがここまでとは思わなかったと、肩を落とすこともある。

だからなのか、移動教室の時は大抵桜の隣に俺が歩くことをしている。俺自体男だから一人で行動することはあまり気にしないが、女子って気にするものなんだよなと思い出しては一緒に行動することが増えた。

その度に宿題の答え合わせをしたりと、少し勉強の話をする。俺は理系が得意だが、どうやら桜は文系らしく、数学は俺のほうが優れていることが会話の中でわかった。

こういう移動教室の移動中でもある。桜が吹奏楽部に入ると聞いたのは。