雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


そんな家族ぐるみの付き合いも一変した。

俺が小学5年生の夏。祖母が他界した。
まだ、80代前半という元気いっぱいの時期だと俺は思う。

お通夜にも告別式にもしっかりと出席したし、桜の家族も出席していたのは傍目からも気がついていた。

ただ、その時は遠目で桜を見ただけで、話しかけなかった。

それは、幼心からなんとなく察していたのだ。毎回祖母の家に行けば甘えるように祖母の膝の上に座る桜のことが脳裏から蘇る。

大好きだった祖母が亡くなってきっとダメージが大きいのは桜だったのかも知れない。泣きもせずに喚きもせずに、小学生だというのにものすごく静かに棺に眠る祖母の顔を最後の最後まで眺めていた気がする。

そんな桜を遠くから眺めるだけで、俺自身も正直にショックが大きかった。つい最近まで元気だった人がこんなにあっさりと逝ってしまうだなんて、幼い自分にとっては衝撃でしかないのだから。

桜ほどではないが、俺もそれなりに悲しかった。だからだろうか、桜の方も俺から話しかけることはなかったのだ。