長くて退屈な入学式は思った以上に疲労を伴ったと思う。その中でもやはり一番驚いたのは新入生代表だった。彼女は、自分に堂々と話せるようにするためにあえて眼鏡を外していたのだ。
大勢の前だということは人目を気にすると緊張してしまうために人の顔が見えないように、あえてそのような処置を自分で施したのだろう。二つ結びのおさげがとても似合う美少女が壇上に立った時の男子のざわつきに胸糞が悪くなった。
俺の従姉妹だから勝手に見てんじゃねーよと心の中でここにいる同世代男子(澤田を除く)を全員呪っていたところで新入生代表の挨拶は終わった。
俺は呪いに勤しんでいたが、桜の新入生代表挨拶はしっかりと聞いていた。さすがは学年1位というような堂々とした内容、かつ暗記力だった。あれだけのものを暗記できるのかと思うようなものを、彼女はいいのけたのだ。
流石の俺も舌を巻いてしまう。
