雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


学生の群れで出来上がっている掲示板の前。そこにたどり着くまでには、繋がっていた手はすんなりと離れていた。桜の歩く歩幅が理解できたからだ。

それに合わせてゆっくりと歩いていれば後ろから桜が歩いてきていることくらい、気配でわかるからだ。そして、時折目でも確認していたためともある。

そんな具合で掲示板の前についたは良いが、文字が小さくてわからない。

「1組。」

そんな俺に代わって隣の桜が言ってくれる。

「私も、雪も、1組。」

「まじか…。つか、メガネかけてるのによく見えるな。」

「…、逆。メガネかけてるから見えるの。」

「あ、それもそっか。」

なら、間違えはないなと思い踵を返す。クラスさえ分かればあまりここには長いはしたくなかった。人が多いからっていうのが一番の理由だが、高校には同じ中学からの友人もいる。桜と一緒というのをバレたら絶対に何かしらちょっかいかけてくるのが面倒だと思ったからだ。