雪の音は静かに降り注ぐ桜とともに


俺の家は小さい頃から父方の親戚と仲がよかった。むしろ、お母さんの方はどこか疎遠に近く、よそよそしくさえも幼いながらに感じていた。

その中でも、同じ苗字の父の兄の家とは結構繋がりが強い気もする。年に一度、祖母の家に行くと必ずいる俺のいとこ。

そのいとこの中でも、3人兄弟の真ん中の桜は俺と同い年だった。

ちょうど、俺と桜がお互いの母親のお腹の中にいるときにすでに名前の付け方が決まっていたらしい。

季節に関係する名前の付け方。

まるで双子のように育てばと思ってつけた名前だった。

俺は、冬生まれだから雪。あっちは春生まれだから桜。

なんともわかりやすくて顕著な名前の付け方だと、聞いたときは呆れたものだった。

確かに幼い時は会うたびに遊んだ記憶がある。祖母の家に行くのもお正月だったため、外には雪が降っていた。

そんな中、桜の手を引っ張って桜の姉と雪合戦したり雪だるまを作ったり。弟の方はまだハイハイしていた時期だった為、連れ出すことはできなかったような幼い頃の記憶。

それでも、桜も桜の姉の透も出るときには、親の制約がついてきていた。

それを子供心ながら、女は大変だなと心の中で小さく呟いていた記憶が強い。