「待って」

私は駆け出した足を止める。

「どうしたの?」

「上靴、履かないの?」

「あ…」

私は手元の上靴を見る。

「うん。音楽室、着いたら履くよ。

じゃ。」


私は今度こそ廊下を駆けた。


上靴を手に持って……。