私が蛍光色のポストからテガミを引っ張り出したのは、夕方になってからのことだった。
昼夜が逆転しているから私と鶏にとっては夕方が朝なのだ。

特に何の変鉄もない、普通のこと。
私たちにとっては不自然でもなんでもない。

けれどそのテガミだけは、いつもとは明らかに違っていて。私は不振におもいながらも鶏にテガミを手渡した。

宛名も切手もなにもない封筒は真っ白で、少し分厚い。
封筒を目にした瞬間、鶏の顔が苦しそうに歪むのを見た。
彼はこれがなんであるか、すぐに気づいたらしい。

正直好奇心が募ったが、私は耐えた。
興味なんかない。

そう装っていつも通りに振る舞ったが、鶏はテガミを私に見せまいとしたのか、一通り目を通してからライターで焼いてしまった。


「出掛けてくる。」


一言残したっきり、彼は戻ってこなかった。