「優希ちゃんはどうしてこの髪型なの？
こだわり？」
俺の髪型はベリーショート。
生まれてから１度もそれ以上にしたことがない。
「優希ちゃん似合ってるけど、やっぱり男っぽいのよね～」
心に刺さる言葉。
「多分もう少しアレンジしたらぐっと女の子になれるから。」
「はい…」
「あと、これからは髪伸ばしてみない？」
「え…髪ですか…？」
「伸ばしたくない？」
伸ばしてみたい…
伸ばしてみたいが似合わない…
「大丈夫。
自信ないならあとでつけてあげる。」
「つける？」
「よし、完成！」
つけるの意味が分からないまま髪は終わった。
さっきまでとは違い少し丸い…
「できるだけフワッとさせてみたんだけど…」
「丸い…」
「確かに！
でも似合ってるよ。」
自分でも分からないが、何故か心がワクワクしている。
鏡に写るのは変わらない俺なのに。
「よし、次は服！」
“美紀さん”は店に戻り、何着か服を持ってきた。
それは今まで俺が着たことないものばかり。
フリルや、スカート、極めつけはピンク。
「それにしても優希ちゃん背が高いね～
なに着ても映える。」
今まで背が邪魔をしてメンズものばかり着ていた。
だけど…
「これ…俺…？」
着るように言われた服は黒。
鏡の俺は黒で統一された服でかっこよくなっている。
それは今までのカッコいいとは違う。
「女性として、カッコいい。」
「美紀さん…」
「まだまだあるから！」
それから何着も着せられた。
恥ずかしかった。
特に初めてのスカートは。
だけど、楽しい…
