まな板と包丁が奏でるトントンって音が、 「家庭の音だ!!」 と喜ぶ優希は、本当子供みたいで、微笑ましい気分になる。 「母親の味を知らないから…」 と、キッチンで立つ姿も、キッチンから出る匂いも、キッチンから出る音も、全てに感動していた。 ある時は、会社の同僚を。 またある時は、会社の後輩を連れて来ては、皆で一緒にご飯を食べた。 それはそれで、楽しい毎日だった。