「まぁいいや。とりあえず今日は退散するよ。でも君なんかに入山さんは渡さないからね。じゃーね?ことねちゃん?」
ヒラヒラと手を振って屋上から出ていった桜井くん。
やっぱりいきなり名前で呼ばれるとドキドキがとまんない。
慣れてないからかな。
うん。そして気まずい。
何この状況。
「なにあいつになんか抱きしめられてんの」
そう言って翔は私をぎゅっと抱きしめた。
「え、ちょ!かけ「悪かった」」
「え?」
「さっきのは言いすぎた。」
耳元で言われるもんだからなんだかくすぐったい。
一緒にいる時間は長いのに、抱きしめられるのは初めてで翔の香りは同じ柔軟剤の匂いがする。
桜井くんのときとは違う。ドキドキがとまんない。

