言わないといけない。でも、言えない。言いたくない。そんな葛藤を続けていると、突然やって来た、彼の持つ心筋症の症状。
ああ、来た。彼は、そう思ったと言った。
なんとなく予感をしていたのだろうか。それとも、常に覚悟をして生きてきたのだろうか。
思ったよりも驚くことはなく、冷静に後先を考え始めた彼は、そのまましばらく大学を休むようになり、私に別れを告げることを決めた。
そして、彼が私に送った「別れよう」というメッセージ。本当は、こういうことは直接言うべきだと分かっていたけれど、直接会えば言えなくなってしまう。そう思い、彼はメッセージで全てを終わらせようとした。
だけど、未来の私は、お兄さんに会いに来た。
会いに来た私は、本の中にあったように泣きわめくと「別れたくない」と何度も繰り返した。
そんな私を見て、彼も涙が堪えられなくなった。自分も、目の前にいる彼女と同じように別れたくなかった。
だけど、本当は、病気のことを隠しながら私の隣にいるのも辛かった。だからこそ、子供のように泣いて、真っ直ぐに別れたくないと訴える私に、色々なものが込み上げたと言った。

