それから彼は、大学へと進学した頃の話をしてくれた。
未来の私と、恋人同士になった彼。二人は、それぞれ違う大学へと進学をした。私は、美術部で絵を描くのが好きだったことから県外の美術大学へ。彼は、遠くの大学へ通うのは体の負担になるかもしれないという理由から比較的近いところにある県立大学へと進学を決めた。
大学へ進学したての頃、自分の病気のことをこのまま話さずにいていいのか。いつ話せばいいのか。彼は、ずっと悩んでいた。
どうしよう、どうしよう。そう悩んでいるうちにどんどん時間が経ってしまったという。
お互い、なかなか予定が合わなくなってしまった大学時代。二週間に一回程度の定期で予定を合わせてするデートは、彼にとってどれも楽しい時間になったと彼は話してくれた。
どのデートも楽しかったし、私といる時間はどんなに短くても、どんなに忙しい時でも、幸せに感じずにはいられなかったと話した彼。そんな彼が特に好きだったのが、何をするわけでもなく、ただ隣にいて、他愛もない話をしている時。
遠くへは行かず、商店街のミケタロウと戯れたり、ただただ公園のベンチで話しながら笑ったりする。それが、未来の私と一緒にいた時間の中でも一番に好きな時間だったと。

