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僕の好きな人へ
久しぶり、になるのかな?
今、どうしていますか?
君の事を残して死んでしまった僕の事を思って泣いてはいませんか? それとも、恨んでいたりするのかな。
そうだとするなら……いや、そうではなくても、本当に僕は最低な事をしてしまったよね。だけど、これが一番の道だと僕は、そう思ったんだ。
僕は、君にとって良くない存在だったから。
優しい君は、〝そんなことない〟〝貴方は必要な存在〟だと何度も言ってくれたよね。だけど、僕にはそうは思えなかったんだ。それは、君の言っている事を信じられなかったわけじゃない。そうじゃなくて、ただ、僕が弱かった。本当に、それだけ。
いつも、その真っ直ぐな瞳で僕を見てくれて、その真っ直ぐな心で僕を救ってくれる。純粋で、真っ直ぐで、素直な女の子。
そんな君に、嘘をつかせる事。たくさんの我慢をさせること。辛い思いをさせること。それが、本当に苦しかった。
こんなに苦しい思いをするくらいなら。真っ直ぐで純粋な君を、汚してしまうくらいなら。僕が痛い思いをして消えてしまう方がよっぽど楽だろうと思ってしまった。
結局、僕は、楽な方へと逃げたんだ。
咳が出て、呼吸が苦しくて、少しの運動で酷い息切れがして、薬を投与したって心臓移植をしなければ完全には治らない。いつ、合併症が起きたっておかしくない。いつ、心臓が止まってもおかしくない。
そんな日々に、耐えきれなくなっていたのも事実。それも、理由のひとつだった。
だから。弱くて卑怯な僕は、こうして自ら命を絶ってしまいました。
ごめんね、君を苦しめた事。
ごめんね、君に我慢をさせた事。
ごめんね、君に嘘をつかせた事。
ごめんね、君を残して消えた事。
謝っても、謝っても、謝りきれない。最後の最後まで君に辛い思いをさせた事、これは謝って許される事なんかじゃない。だから、僕の事は許さなくてもいい。
だけど、一つだけ。
たったの一つだけ、もう一度、僕の我儘を聞いてください。
それは、僕が君に別れを告げて、君に病気の事を話した去年の春。君に言った我儘です。
どうか、幸せになってください。
この愚かな僕のことは忘れて、もっと、君が輝ける太陽の下で笑っていてください。
僕は、何よりも君の笑顔が一番に大好きでした。
放課後、部活終わりに笑顔で駆け寄ってくる君の笑顔も。甘いものを食べて幸せそうに「美味しい」と言って笑う君の笑顔も。こんな僕に「好き」だと言ってくれた時の照れ笑いも。
君が笑った時にできる小さなえくぼも、綺麗な弧を描く唇も、三日月型になる瞳も。全部、全部、好きだった。
だから、君にはいつも笑っていてほしい。
お願いだから、ずっと、ずっと、あの時と変わらない笑顔で笑っていてほしいんだ。
暗くて、不器用で、心を閉ざしていた。
ずっと、ずっと、光のない世界で彷徨っていた、そんな僕を救ってくれた向日葵のような女の子へ。
本当に、大好きでした。
僕と生きてくれて、ありがとう。
君の太陽にはなれなかった僕より
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