もう二度と昇らない太陽を探す向日葵


 立ち上がった私は、お母さんが仕事と仕事の合間で私のために作ってくれたおにぎりと、卵焼き、ウィンナーをぺろりと全て平らげると、少しだけ早い入浴を済ませた。

 決して広くはない四畳半程度の部屋に入るとベッドに仰向けで寝転がる。私は、さっき駅前の大通りで拾った本を両手で高く持ち上げて眺めた。

 お店でかけてもらえる茶色いブックカバー。茶地に白い字で店名がお洒落に英語で綴られている。このブックカバーをかけてくれる書店は、ここから少し歩いたところにある。この辺りでは品揃えもよく比較的大きな書店だ。

 私は、表紙を開いて初めのページを見た。初めのページには、真っ白の紙の中央に『あなただけを見つめる 日向あおい』と、タイトルと著者名が書かれていた。

 更にページをめくると、目次。その次のページからは本編が始まっているようだった。


 見た感じ、何となくエッセイ本であることは分かった。私は、単なる本を読みたいという気持ちと、どんな内容で、どんな人が読んでいたのかを知りたいと思う興味本位とで、次の本編が始まるページを捲ると、目で文字を辿りはじめてしまった。