「うわ、あっち」

 午後4時前、部活を終えた私と志之は二人並んで学校を出た。玄関を出た瞬間、私たちを焦がすような勢いでジリジリと光を射してきた太陽に、私は咄嗟に目を細めた。隣にいる志之も、太陽の光を手のひらで遮るようにしながら目を細めている。

「暑すぎだろ、これ。しかも尋常じゃないくらい眩しい。俺、そのうち太陽に溶かされる」

「はは、何それ。確かに暑いけど、大袈裟だよ。それに私、夏の太陽嫌いじゃない」

「お前、こんなに暑いのに何言ってんだ。頭どっか打ったのか」

「頭なんて打ってませーん!本当に思ってること言ってるだけだよ。だって、ほら、志之、気持ち良くない?」

 両手をぐっと大きく広げて、私は太陽の真下に立った。そのままぐるぐると回ると、制服である紺色のスカートがふわふわと浮き始めた。

 スカートの裾が膝の辺りまで上がってきた所で回るのをやめた。そんな私を志之は不審そうな目で見ると「馬鹿がいる」なんて言って先に歩き始めた。

「志之よりは頭良いですけどー」

「うるせ」

「あはは、志之が怒ってる」

 私は、先を歩き始めた志之を追いかけて隣に並んだ。

 いつものように志之と他愛もない話をしながら歩き続け、しばらくした所にある分かれ道で、また私達はそれぞれの家路を一人歩き出した。