俺が彼女に会えない理由

急速に仲良くなっていく俺と風花の関係はクラスメイトたちの目に留まった。

当然、クラス中が異変に気付き、「冬弥は風花が好き」と騒ぎだした。
でも、それでもまったくかまわなかった。

どれだけからかわれようと、馬鹿にされようと、それ以上のことを風花は俺にしてくれたと思っていたからだ。

風花が風邪で休むことがあれば、その日に学校で配られたプリントやなんかを家に届けた。

玄関先で、風花のお母さんがクッキーや缶ジュースをたくさんくれたのをよく覚えている。

時には、「家にあがって、おやつでも食べて行ってね」と声をかけられ、居間でケーキを食べさせてもらったこともある。

風花が亡くなってから、エプロン姿を一度も見ていないが、あの頃は、大抵いつもエプロン姿だった。

風花のお母さんとの出会いは、俺には衝撃的だった。

同じ「母親」でも、ここまで自分の母親と違うものかと愕然とした。