それ以前に、小学三年のときの先生に「筆で線を引いたみたいな目だ」と言われたこともあった。

だから、人からとやかく言われることにそれなりに慣れてはいた。
ちなみにそのときの先生は、「一重は、凛々しくて涼し気だ」と、続けて言ってくれたが。

俺が忘れられない言葉というのは、その女子が言ったあとに、風花が言ってくれたものだ。

風花は、クラス中が笑う中、笑わずにいてくれたただ一人の人だ。

「違うよ。冬弥くんは、戦国武将に似てるよ!」

クラスメイトたちは、笑うのを止めて一斉に風花のほうを向いた。

「教科書に載ってる戦国武将って、ほとんど一重だよ!」

誰もが驚いた。