とても子持ちだと思えないおじさん。
グラスを全て磨き終えてお酒の確認を始めた。
他人に娘を押し付ける最低な親だと
お父さんは周りに言われたみたいだけど
月に1度は必ず日本に帰ってきてわたしの顔を
見に来るし、連絡もよくしてくる。
みんなが思っているほど
お父さんは悪い人ではない。
「涼、ナナ、今日も手伝いよろしく」
頷いて店の奥の階段を上る。
「1週間以上帰ってこないなんてよっぽどだな。
おかげで常連客がナナはいないのかって毎日
うるさかったんだからな」
わたしの部屋の前で止まる
涼の首にはいやらしい痕が
いくつも付いていた。

