CLOSEと書かれてあるが扉を開ける。 カランコロンと静かな店内に響いた。 「あぁ、おかえりナナ」 グラスを1つ1つ丁寧に磨いているその姿が すごく似合っている。 まるで音楽を聴いてるかのように 心地のいい声のトーンが耳に入る。 「ただいまおじさん」 「明日も帰ってこなかったらさすがに 探そうと思っていたんだよ。 携帯も忘れてたみたいだったからね」 小学生のときお母さんが 天国に逝ってしまって以来 海外で仕事をしているお父さんの代わりに わたしの面倒をみてくれている。