「あ…傘忘れた」 さっきより雨は強くわたしを打ち付ける。 早くこの通りから出なきゃ… また他の人に捕まる前に… 勢いよく出て来たホテルを背に何歩か前に 進んだときだった… 打ち付ける雨がやんだのは。 見上げれば大きな傘がそこにはあった。 その視線を後ろの方にやれば、 わたしを見下げている目と合う。 「こんなところでなにやってるんだ」 わたしに傘をさしているせいで 彼の背中はきっと濡れている。