「待って!」 最後の最後には追いかけて来てくれるはずと それでも夢を持っていたわたしだったけど 振り返ってみたらそこにいたのは 最も嫌いな担任の瀬戸先生。 振り返らなかったらよかったと後悔して 靴を履き替えた。 「桜井先生の言ったことは本当? 俺は奈々子ちゃんの言うことを信じるから!」 「……なにがおかしいんですか?」 「え?」 「なにがおもしろくて そんなに笑ってるんですか」 こいつの本当の顔をこの時初めて見た。 心の底からこいつはわたしを見て笑っていた。