ここ、どこだっけ。
私、なにをして、どうしてこんなところにいるんだろう。
考えれば考えるほど、わからない。
見える景色も、立っている場所も、今の時間も、まるで記憶にない。
ただ漠然とした恐怖だけが私を抱いている。
目の前を走る特急電車。
私がこんなことになるには、きっとどこかで訳があって、私はそして多分、誰にも心配されず探されてもいないのだろう。
このままここに身を投げてしまおうか。
そしたら楽なのだろうか。
もしここが停車駅だったとしてもホームに入る電車のスピードは時速70km。
十分だな。
「俺のために生きて」。
私が生きていて得をする人なんていない気がしている。
だけど、生きていてって言われて悪い気はしない。
1人でもそう言ってくれる人がいるなら、明日までは考えてみるか。
そうして私はなんとか眠りについた。