「この指輪は他の誰も指を通してない。 だから、ヒサに本当に好きな人が現れたら、その人にこの指輪をあげたらいいよ」 「え……」 「今の時代、女から男へっていうのもアリだろ?」 そう笑うと、センパイは私の手のひらに指輪を置いた。 「……」 そんな……。 ギュッ。 私は指輪を握りしめた。 そんな……。 「誰かにあげるつもりなんかない!」 「ヒサ!?」 私は無意識に声を上げていた。 「あ……」 自分でも驚き、とっさに口に手を当てた。 図書室に誰も居なくて、よかった……。