「この地域猫問題は、根が深い。
どうにかしたい……そう思っても、ヒサ一人じゃ難しいと思うぞ」
「……そっ、そんなのわかってるっ」
心の中を読まれたような言葉に、一瞬ドキッとする。
わかってるよ……。
まだまだ何も知らないことばかり……。
帰ったらネットで調べてみようとは思ってたけど……。
「ヒサ!?」
家の前に着いた時、ちょうど出てきたママに声をかけられた。
「あんた何、ビシャビシャじゃないの!
遅いから何度も携帯に電話したのに」
「あ……そうなの?ごめん」
私は気付かず、今さらポケットから携帯を取り出した。
「傘無くしちゃって、優也センパイに送ってもらったの」
「あらあら、ご迷惑かけてすみません」
ママがしきりに頭を下げる。
「いえ、そんな……」
ママの迫力に、センパイが後ずさりしたように見えた。
