「野良猫も、もしかしたら誰かに家で飼われていた猫かもしれない。
外での生き方なんて知らない猫を、人間は自分都合で簡単に捨てる。
猫にとったらどれだけ怖くて、寂しくて、悲しくて……。
飼い主が戻って来てくれると、ずっと待ち続けて……。
お腹空いたよと鳴き続けて……。
そういう猫を救いたいと、活動しているんだよな……」
「うん……」
センパイの話しに、ギュッと胸が痛くなった。
そんな人間に、あの仔たちは、とてもなついてた……。
きっと、猫おばさんやボランティアの人たちに可愛がられているからなんだろう……。
一歩一歩進める足が、とても重い。
そこまで遠くない家までの距離が、とても長く感じた。
家に着く頃には雨も上がり、せっかくのセンパイとの相合傘も閉じられた。
