学校から家までそんなに遠くない。
これくらいの雨なら、歩いて帰れると思った。
半袖から落ちる雫が、思いのほか雨に濡れてしまったのを気づかせる。
それが、いつの間にか小雨に変わっていた。
センパイのさす傘に入るなんて……。
ドキドキで、いつものように話せなくなっていた。
「……」
センパイ怒ってるのかな……。
私は無言に耐え切れず、声をかけた。
「さっき猫おばさんと話したの。
おばさんのやってる地域猫活動のこととか、サクラ猫のこと……」
「あぁ、俺も聞いたよ。
猫たちのために、一人でも多く理解してもらいたいって言ってたな」
「うん……私、何も知らなくて……「仔猫だ、可愛いー」なんて……。
小さな命……」
"殺処分" "TNR活動" "保護猫、野良猫活動"
初めて聞いたことばかりで……。
こんなにも無知な自分が嫌になる……。
