「野良猫が増えれば糞尿被害で、近隣住民と揉め事が必ず起きるのよ。 猫が好きな人ばかりではないからね……。 生まれたばかりの仔猫を行政に連れて行かれて……殺処分」 「殺処分!? 殺処分って……殺されるの!?」 「ガス室に入れられてね……」 「……」 「安楽死はない、ガス室に入れられて、苦しんで死ぬの……」 私は言葉が出なかった。 どんどん目から涙が溢れる。 猫おばさんは、そう話しながら足元の猫にゴハンをあげている。 猫が濡れないよう屋根のある場所で……。 私……何も知らなかった……。