最近よく聞く"空前の猫ブーム"
テレビでも猫の特集をよくやってる。
可愛い猫がたくさんいて……。
でもそれは、一部の猫ということなのか……。
野良猫たちは危険にさらされながら、懸命に生きてる……。
私はまた、大イチョウの方へ視線を移した。
「あ……雨」
雨粒がポツポツと窓にあたる。
いつの間にか空は真っ暗になっていた。
帰って行く生徒たちも、傘をさしている。
「とうとうきたかー。
ヒサ、雨ひどくならないうちに、帰った方がいいぞ」
「うん、センパイは?」
「これから学園祭の件で職員室に寄らないと」
そう言うと立ち上がり、カバンにノートをしまい始めた。
時計を見ると、18時になろうとしていた。
「これから?センパイ大変だねー」
「まぁなー」
「あっセンパイ、参考書忘れてる」
私は参考書を手に取ると、センパイに渡した。
「はい」
「……」
センパイは受け取った参考書を見つめ、一瞬無言になった。
「センパイどうしたの?」
「……これ……俺の……?」
「え?そうだよー。
だってここの席、センパイしか使わないじゃない」
私は笑った。
「……そうだよな……」
