「……」
図書室へ戻ってからも、私は無言だった。
なぜかあの兄弟猫が気になって、何度も何度も大イチョウの下を見てしまう。
「どうした?
あの猫たちが気になるのか?」
センパイが私に声をかけた。
「あ……うん。
あんな小さい仔たちなのに、外で暮らしてるんだね……。
お母さんのところ、ちゃんと戻れたかな……」
「……本当は、5匹兄弟だったらしいよ」
「え!?」
「3匹は駄目だったんだって……猫おばさんが言ってたよ」
「そんな……」
「外で暮らす猫は過酷なんだろうな……」
「……猫おばさんは、あの仔たち飼えないのかな!?」
私の唐突な言葉に、センパイは頬杖をつき、一つ息を吐いた。
