目の前の診察室の扉が開くと、さっきセンパイの目の前に座っていた医師が出て来た。 私に気付き軽く頭を下げると、そのまま通り過ぎて行った。 「……あの!」 私は立ち上がり、その医師に声をかけた。 「あの……センパイは……瀬戸さんは……」 「君は? ご家族の方じゃないよね?」 「……はい」 私は、先生の言葉にうつむいた。 「……」 先生は、何かを考えるように少しの間黙っていた。