図書室のドアを開けると、ふわりと暖かい風が頬に触れた。 「おはよ」 いつもの席に優也センパイが座っていた。 私は慌てて、図書室のドアを閉めた。 「ヒサ!」 上がって来たばかりの階段の途中で、センパイに腕を掴まれ、止められた。 「ヒサ!」 「……」 私はうつむいた。 センパイと目を合わせられない……。 会いたくなかった……今は……。 今はまだ、自分の心に余裕がない…… 。