朝の空気が、肌を突き刺すように痛い。
私はコートのポケットに、急いで手を入れた。
通り過ぎる会社員や、OLさん。
こんなに早く出かける人がいるなんて……今まで気付かなかったな……。
学校に着くと、もうすでに門は開いていた。
先生たちも、こんなに早く来てるのかな……。
私は上履きに履き替えると、教室ではなくB棟へ向かった。
職員室前は、そっと音を立てず通り過ぎる。
ふと見ると、少し開いた職員室のドアの向こうに、大森先生の姿が見えた。
「……」
こんなに早く来てるんだ……。
「……」
よく見ると、横顔にバンドエイドが貼ってあるのが見えた。
私は気付かれないよう、急いで階段を駆け上がった。
謝らなければいけない……。
いけない……。
それは、わかってるけど……。
