『大森先生、頭を打って数日入院らしいけど、大丈夫だって』
「……そう……よかった……」
私は自分のベッドに横になったまま、電話で奈々ちゃんと話していた。
寝たまま見上げた冬空は、澄み渡っている。
1本線に伸びる、ひこうき雲がハッキリと見えた。
こんな昼間に自分の部屋にいるなんて……。
風邪で学校を休んだ時くらい……。
大森先生にケガをさせた私は、10日間の停学になっていた。
『大森先生の教育熱心さは有名だけど、ちょっと行き過ぎてるんじゃないかって、PTAの方でも言われてたらしいんだ……』
「……」
『ヒサは、前から大森先生に目をつけられてるようなところあったし……。
でも、どうしちゃったの?
こんなこと……』
「……ごめ……ん……今度、話すね……」
震える声をしぼりだす。
『……うん、わかった』
