「……」 窓の外に目をやると、大イチョウに隠れるように建つ校門に、一人の女性が立っていた。 うちの制服ではないことは、見てすぐわかった。 厚手のコートで隠れてはいるけど、あの緑の制服は、近くのお嬢様校のもの……。 腰まで届きそうな長いウエーブの髪が、とても綺麗な印象を与えた。 そこへ走って来た人。 女性はその人へ振り向き、手をあげた。 振り返った女性の、目鼻立ちのハッキリした、とても美しい……。 走ってきた男の人の、後ろ姿を見て、 心臓が止まった気がした。